食中毒の予防ノロウイルスとカンピロバクターについて

 

 

2016年(平成28年)わが国で発生している食中毒の中で、
発症患者数が多い1位と2位のノロウイルス食中毒とカンピロバクター食中毒について
今回ご紹介いたします。

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正しい知識や予防方法について理解を深めて、
食中毒から身を守り健康な食生活を維持しましょう。

毎年毎年、食中毒のワンツーパンチを打ち込んでくる細菌性代表のカンピロバクターとウイルス性代表のノロウイルス。(後で弱点を教えますね)
1位のノロウイルス食中毒は、聞いたことありますよね。
でも2位のカンピロバクター食中毒って何?と思われる方も大勢いらっしゃるかと思います。
今回覚えてください。

 

最近の食中毒

 

細菌性の食中毒事件数が減少する中で、カンピロバクター食中毒の発生件数はそれと逆行するように増加し、全体の16%を占め、ノロウイルス食中毒の57%に次ぐものになっています。
つまり最近の食中毒はこの二つのワンツーパンチで73%の健康被害を受けています。

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細菌性の食中毒の記事とウイルス性・自然毒性 ・化学物質性 ・寄生虫の記事を書いていますので、ご覧ください。

食中毒の予防は細菌性原因物質から学ぼう

 

食中毒の予防は原因物質から学ぼう

 

比較的詳細な記事にしてますので、ご覧いただければ、
お分かりになるかと思いますが、
簡単におさらいします。

 

ノロウイルス・・・(感染患者数の第1位)うつる

食中毒で日本で一番感染患者が多いウイルス性のノロウイルスです。秋から冬にかけて多く発生します。カキやシジミなどの魚介類が汚染され、それを食べることで中毒症状を引き起こします。さらに自分では食べていなくても、ノロウイルスに汚染された食品を食べた人の嘔吐物や便を介して感染することもあります。よくある事例が、感染者が、用便後の手洗いが不十分なまま料理をすると、食品がウイルスに汚染され、その食品を食べることにより、感染が引き起こされるおそれがあります。

●菌の生息分布
ノロウイルスは貝の体内では増殖できません。二枚貝の生息域がノロウイルスに汚染されると、ノロウイルスを体内に蓄積してしまうと考えられています。
ノロウイルスの感染経路
①乾燥して風に舞ったノロウイルスが体内に入る
②感染者の便や吐物中のノロウイルスが手につく
③ノロウイルスが手についた可能性の高いまま調理をする
④カキなどの二枚貝を加熱せずに食べる
⑤ノロウイルスに汚染された井戸水を飲む
●主な原因食品
水やノロウイルスに汚染された食品、特にカキを含む二枚貝が多く報告されています。
主な症状
吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱が主症状。
感染しても全員が発症するわけではなく、発症しても風邪のような症状で済む人もいます。抵抗力が落ちている人や乳幼児では数百個程度のウイルスを摂取することで発症します
潜伏期
24~48時間
回復
通常3日以内で回復します

 

カンピロバクター菌・・・(感染患者数の第2位)細菌性の病原菌


●菌の生息分布
家畜(鶏、牛、豚、ヤギ等)、ペット、野生動物、野鳥などに生息する
●主な原因食品 
生肉などに生息する。食肉(特に鶏)、不十分な殺菌による飲料水、サラダ等
主な症状
腹痛、下痢、発熱(40℃)、嘔吐
●潜伏期
2日~7日 潜伏期間が長い
回復
4~5日平均

 

 

細菌とウイルスの違いは何でしょうか?

 

カンピロバクターは細菌です。そしてノロウイルスは名前の通りウイルスです。
それぞれの弱点を知るために、細菌とウイルスの違いを調べてみました。

細菌とウイルスは良く似ているように思いますが、実は、大きさや、構造や増殖の仕方や治療法まで全く異なります。

 

細 菌


細菌とは、
英語でバクテリアです。
細菌は1つの細胞からできている単細胞生物です。自己で分裂、増殖します。
細菌は周りに「えさ」さえあればどこでも簡単に自分のDNAを複製・増殖させ、繁殖することができる生物といえます。人間の体の中に入ると、人間の細胞に取り付きます。細菌は、この細胞に取り付き、細胞の栄養を吸い取って、恩をあだで返すように、代わりに毒を出して細胞を死滅させてしまいます。栄養を吸い取った細菌は、自分が分裂して、仲間を増やしていきます。温度や栄養などが増殖に適した環境ならば、限界なく増え続ける恐ろしいモノです。
感染の仕方は、
人の細胞の外側に取り付く。人の細胞に吸着した場合、人の細胞のエネルギーを吸収します。
細胞への作用は、
細菌は毒素を排出し、人の細胞を死滅させます。
増殖の仕方は、
自己分裂です。
エネルギーを吸収しながら、細菌は自己で分裂し、人の細胞の外で増殖します。
大きさは
細菌:人の細胞=1~5:10~20【大きさ(倍)】
数マイクロメートル(1ミリメートルの1000分の1)で、普通の顕微鏡で見ることできます。
形状は様々で、例えば球体、らせん形など
体の防御反応(免疫反応)や治療方法は、
細菌に対しては白血球の中の「好中球」という細胞が主体となって防御します。もし血液検査を受けて、医師から「白血球が高いですね」と言われた場合、「好中球が細菌と戦うために増殖している。よって細菌による感染症の可能性が高い」ということです。
治療薬としては、
細菌に対しては「抗菌薬(抗生物質)」が用いられたり、増殖を防ぐ抗菌薬を使用します。
自分の細胞を持っているので、細菌を死滅させる薬を造ることができます。抗生物質といって、細菌の細胞を攻撃することができる薬です。
細菌による代表的な病気
o-157 ・ 結核 ・ 中耳炎 ・ 百日咳 ・ 膀胱炎・コレラ・赤痢・破傷風・細菌性髄膜炎・扁桃腺炎・副鼻腔炎・細菌性胃腸炎など
おもな病原体
カンピロバクター・ブドウ球菌・大腸菌・サルモネラ菌・コレラ菌・ボツリヌス菌・レンサ菌・破傷風菌・結核菌

 

ウイルス


ウイルスとは、
「中にDNA(またはRNA)という遺伝子が1、2本入ったカプセル」という非常にシンプルな粒子です。他の生物の細胞エネルギーを利用し存在出来るもので、ウイルス単体では増殖はできません。自己で細胞を持たないからという理由で、生物学上では微生物に分類されますが、厳密には「生物」ではないのです。ウイルスは遺伝情報しか持っていません。
ウイルスは細菌よりずっと小さく、自分で細胞を持っていません。ほかの細胞に入り込まなければ生きていけないのです。ウイルスが人間の体に入ると、細胞の中に入り込み、その細胞に、自分のコピーを作らせるのです。細胞の中で自分のコピーが大量に作られると、やがて細胞は治まりきれなくなり破裂して死んでしまいます。破裂したとき、細胞の中から大量のウイルスが飛び出し、ほかの細胞に入り込みます。こうしてウイルスが大量に増えていくのです。これを繰り返して、一気に増殖するのです。
感染の仕方は、
寄生です。
最初から他の生物に感染して、害をなす(エネルギーを横取りする)ことを目的に存在しています。
人の細胞内に侵入する。人の細胞の中で増殖します。細胞を持たないので、生きている細胞にしか寄生できません。ちなみに、ウイルスが付着した細胞を宿主細胞と呼びます。
増殖の仕方は、
人の細胞内の通常の遺伝子情報を、ウイルスの遺伝子情報(DNA)に変えさせ、人の細胞にウイルスのコピーをつくらせて増殖させる。
細菌と比べて増殖する速度は、圧倒的に早いですが、ウイルスは単体では増殖ができないので、宿主細胞がなくなれば増殖が終わります。
細胞への作用は、
細胞内のエネルギーを消耗させて殺します。
大きさは
ウイルス:細菌:人の細胞=1:10~50:100~200【大きさ(倍)】
ウイルスの大きさは、種類によって20~300ナノメーター(nm)の大きさで、細菌はウイルスと比べてさらに10~50倍大きいのです。
数十ナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)から数百ナノメートルほどで、普通の顕微鏡でも見ることができず、電子顕微鏡がなければ見ることができません。
・・・一体どのくらい小さいのかわかりませんね。
1ナノメーター=0.000000001メーター=0.000001ミリメーターです。
1ナノメーターがどれだけ小さいか、たとえていえば、
『地球を1メーターの直径とすると、1ナノメーターは1円玉の大きさ』なのです?・・・
例えば、細菌の大きさが大型バスとしたら、ウイルスの大きさは自転車程度です。OKですか?

体の防御反応(免疫反応)や治療方法は、
ウイルスに対しては主にリンパ球(とくに細胞傷害性Tリンパ球)が防御にあたります。
治療薬としては、
ウイルスには細胞がありません・・・・。
ココが大変大きな違いでこの個々が細胞を持っているか否かが理由で薬(抗生物質)が効くのか否かきまります。
つまり、抗生物質が効きません。
ウイルスを死滅させることは困難です。
ウイルスを攻撃しようとすると、ウイルスが入り込んでいる人間の細胞を壊してしまう恐れがあるからです。
抗生物質が効かないウイルスには、抗ウイルス薬が使われます。
抗ウイルス薬は、ウイルスの活動を止める作用がありますが、有効な抗ウイルス薬は、まだまだ少ないのが現状です。
ではどうやってウイルスを人は撃退しているのでしょう?
それは、風邪の発熱なのです。
ウイルスは40度の温度で死滅します。
風邪で人が熱を出すのはこう言う理由もあるのです。
ウイルスは、非常にサイズが小さいのと、特定の生物の細胞の中に入り込む形で増殖するため、安易に抗生物質を使う事が出来ません。
あとは、生ワクチン。
ワクチンとは病原体は生きているが、病原体のウイルスや細菌が持っている病原性を弱めたものです。これを予防接種すると、その病気に自然にかかった状態とほぼ同じ免疫力がつきます。


ノロウイルスでは、2017年時点で
ワクチンは開発中だそうです。
製造されれば予防接種ができるようになりますが、武田製薬や第一三共でも研究開発中です。
臨床試験の進み具合をみると、まだまだ先のことになるとのことです。
ただ開発は一般向けではなくて、
①乳幼児や高齢者、免疫の落ちている方の感染・重症化予防

②感染の拡大につながる方の感染予防
この2つを優先目的でノロウイルスワクチンを開発中だそうです。
健康な方でも嘔吐や下痢で苦しむ胃腸炎なのですが、比較的すぐに症状はよくなります。
健康な方で死に至ることはまずないので、医療の世界では「軽い」という認識になってしまうそうです。
ノロウイルスに感染した場合は、自宅で静養するしかないのも、こういう理由から来ています。

ウイルスによる代表的な病気
インフルエンザ・日本脳炎 ・ 感染性胃腸炎 ・ 手足口病 ・ 風疹・風邪症候群・流行性のインフルエンザ・ヘルペス・エイズ・エボラ出血熱・SARS・MERSなど
おもな病原体
ノロウイルス・ロタウイルス・インフルエンザウイルス・コロナウイルス・ヘルペスウイルス・HIV・肝炎ウイルスなど

このように
細菌とウイルスの違いや特徴からの治療法を正しく理解しておけば、万が一、感染した時に次の対応が分かるため助かります。
「細菌」と「ウイルス」は、共に”病原体”や”ばい菌”といった表現で一括りにされてしまうこともありますが、全く異なるものだとお分かりなられたかと思います。
そのため、感染した際に使う薬も違えば、感染しないよう消毒する時に使う薬品も異なります。
例えば、
ノロウイルスは、アルコールで消毒できないため、塩素消毒剤を使います。
ご存知でしたか?などたくさんあります。

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